SUM(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)は、浸炭熱処理できますか?
【Question】
SUM(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)は、浸炭熱処理できますか?(M社様より)
【Answer】
低炭素の場合は、浸炭熱処理(浸炭焼入焼戻)ではなく、浸炭窒化熱処理(浸炭窒素焼入焼戻)で対応し、また中炭素の場合は、焼入焼戻(調質)で対応出来ます。
SUMとは、普通の鋼よりも被切削性を良くした鋼を快削鋼と言います。つまり「削られやすい鋼」の総称です。快削鋼には快削性元素(S,Pb,Se,Te,P,Nなど)を単独に添加したものと、2種以上の快削元素を組み合わせた複合快削鋼があります。
快削性が主体で機械的性質があまり要求されないものには、低炭素鋼をベースに、S,S+P,S+Pb,S+Pb+Pを添加した硫黄快削鋼又は複合快削鋼があり、強度を必要とする部材にはS30~50Cあるいは合金鋼をベースにPb又はSを添加した快削鋼が多様されています。
・低炭素系快削鋼材(SUM11~12,21~23,22L~24L)
被切削性に重点を置いた快削鋼で、低C-S系(SUM11,12)、低C-S-P系(SUM21,22,23)、低C-S-Ps-P系(SUM22L,23L,24L)が属します。
・中炭素系快削鋼材(SUM31~32,41~43,31L)
強度と被切削性を必要とする部品用で、Sによる強度劣化を防ぐためにMn%を多くしてあります。中C-S系(SUM31,32,41,42,43)、中C-S-Pb系(SUM31L)がこれに属する。SUM31はSS41相当の強度部品用、SUM41,42,43はそれぞれS35C,S40C,S45C相当の強度部品に適する快削鋼であり、いずれも焼入焼戻(調質)して使用します。
当社での浸炭窒化熱処理(浸炭窒化焼入焼戻)は、主にSUM24L の熱処理依頼が多いです。図面規格で、硬化層深さ0.3㎜狙いであれば常時熱処理を行っています。また0.5㎜狙いの実績もあり、表面硬度などご不明な点はお問い合わせ下さい。
ご相談や見積依頼などは、お気軽にご連絡下さい。
材質記号 |
C
|
Mn
|
P
|
S
|
Pb |
SUM 21 |
0.13 以下
|
0.70~1.00
|
0.07~0.12
|
0.16~0.23
|
– |
SUM 22 | 0.24~0.33 | ||||
SUM 22L | 0.10~0.35 | ||||
SUM 23 | 0.09 以下 | 0.75~1.05 | 0.04~0.09 | 0.26~0.35 | – |
SUM 23L | 0.10~0.35 | ||||
SUM 24L | 0.15 以下 | 0.85~1.15 | |||
SUM 25
|
0.90~1.40 | 0.07~0.12 | 0.30~0.40 | – | |
SUM 31
|
0.14~0.20
|
1.00~1.30
|
0.040 以下 | 0.08~0.13 | |
SUM 31L
|
0.10~0.35 | ||||
SUM 32 | 0.12~0.20 | 0.60~1.10 | 0.10~0.20 | – | |
SUM 41 | 0.32~0.39 | 1.35~1.65 | 0.08~0.13 | ||
SUM 42 | 0.37~0.45 | ||||
SUM 43
|
0.40~0.48 | 0.24~0.33 |